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ノーコードWeb制作プラットフォームについて

ノーコードWeb制作プラットフォーム(ノーコードツール)とは

ウェブサイトは、htmlやcssやPHPなどの開発言語(コード)によって作成されます。これに対しコードを意識しないで部品をマウスで指定・操作してウェブサイトを作成できる環境を「ノーコードWeb制作プラットフォーム」などと呼ばれます。

代表的なサービス提供事業者(プロバイダ)として、WixStudioJimdoペライチなどがあります。

これらのサービスを利用すると、まったくの素人(管理画面さえ操作できない方は除く)でも簡単にウェブサイトが制作できます。これは事実でありますが、上記各プロバイダのサイトには掲載されていない隠されたリスクが存在します。先人が「タダほど高いものはない」「安物買いの銭失い」「薔薇に棘あり」などということわざで後世の人々を戒めている通りなのかもしれません。

】WordPressのノーコード機能

このページでは、「ノーコードWeb制作プラットフォーム」とは運用サーバーを含めたウェブサイト環境すべてを提供するプロバイダのことを指しています。

「ノーコードツール」というエディタの機能として限定して言うなら、WordPressにもVersion5から「ブロックエディタ(Gutenbergともいいます)」が導入されていますので、ノーコードでの投稿が可能です。
使い方は以下のサイトをご参考にするとイメージがわかると思います。

html構造の問題

遡ること久しい2013年、弊社はhtmlサイトからWordPressへの移行のためのコンテンツ収集アプリケーション(Microsoft C#)を開発していました。当然html構造解析が必要で、「Html Agility Pack」(https://html-agility-pack.net/)というライブラリを組み込むことで開発できました。

このライブラリを使用すれば、解析だけではなくhtml編集もできます。ふと初心者用のウェブページ作成アプリケーションも開発できる可能性があるなと考えました。要するに「ノーコードツール」の着想でした。

しかし、htmlの編集ができたとしても、最適なcssを割り付ける機能はどうしても実現できそうにありませんでした。htmlタグ追加のたびに既存の割り付け状態を確認せねばならないなどハードルが高く、いろいろ考えましたが最も簡単なのはhtmlタグ個別にstyle属性によって割り付ける、という結論に達しました。しかしこれではhtmlタグの属性情報だけで大変な容量になります。極端に言うと「あいうえお」という一行を記述するのに、文字サイズ・文字色・太さ・位置などの属性情報が各行に設定されるので、例えば100行のコンテンツを記述するのにはこの100倍の属性情報がまとわりついてくるのです。当時の先進的ではないネット回線速度ではとても使い物にならないし、なんといってもスマートさに欠けており、なりふり構わないみっとなさが弊社の開発スタイルに合わないと判断し、開発は頓挫しました。

しかしなんということでしょうか。現在のノーコードWeb制作プラットフォームが生成するhtml構造はまさに弊社が2013年に考えた構造に似たものなのです。

リスク

「スマートさに欠けた、なりふり構わないみっとなさ」というのはいろいろな弊害を招いてしまいます。

  • ページが重い
    htmlタグに付加情報がたくさん含まれており転送データが大きくなるので、非常に重いページになってしまいます。スマホ4Gなんかではグルグルが終わらないようになります。
  • 他のプラットフォームへの移行が難しい
    コンテンツをエクスポートして他のプラットフォームに乗り換えるという場面では、このhtmlタグがゾンビみたいにまとわりついてきます。
  • 他のプラットフォームからの移行が難しい
    他のプラットフォームからインポートという場面においても、html構造がバッティングして適切な制御ができるのかどうか疑問が残るところです。

特に後二点があると、そのノーコードWeb制作プラットフォームから逃れられなくなるという泥沼にハマる恐れがあります。将来的な拡張発展の余地がなくなってサイト所有者の自由度が大きく損なわれてしまうということです。

現に弊社が請け負った案件において、とあるノーコードWeb制作プラットフォームからWordPressに移行したいという案件があったのですが、余計なhtmlタグが存在すると適切な制御ができないのでそれらのhtmlタグを除去するため手作業でコンテンツを移動するしかなく、その見積り費用が高額になってしまい頓挫したことがあります。お気の毒にもそのサイトは前にも進めず後ろに下がることもできない状況で、今もってそのプロバイダで運営されているようです。

所有権

ノーコードWeb制作プラットフォームによるサイトは、そのプロバイダが所有するサーバーに収容されます。

その昔、「A***aブログ」とか「は**ブログ」などのブログサービスにおいては、利用規約の変更というハシゴ外しにも似た現象がありました。運営しているブログが利用規約変更のため違反するようになったから削除された、という現象です。

WordPressはサイトは所有者自身がサーバーを契約しますしドメインも所有しますので、このような目に合うことは決してありません。

やはり自己所有でない限りは安心して運営するということはできないこともあります。例えばライバル企業がプロバイダに難癖付けてターゲットサイトを削除させる工作をする、ということも不可能ではないかもしれません。

メリット・デメリット

ノーコードWeb制作プラットフォームが謳う「無料で簡単に始められる」という言葉の裏側をお考え下さい。「ちょっとした機能を導入するには有料であり、やめるのは簡単ではない」ということです。これはもちろんご利用者を取り巻く諸条件によって変わってきます。

WordPressにおいては、ちょっとした機能の導入は数多あるプラグインが無料で利用できますし、高難易度機能の導入やカスタマイズは制限なく可能です(がお金がかかります)。他のプラットフォームやサーバーへの移転は簡単にできます。

このあたりのメリット・デメリットについてはご利用者がご自身の諸条件に照らし合わせてご判断していただくことが重要になりますが、WordPressであればそのリスクを最小限に抑えることができるのではないかと考えております。自由度が高い、というのがその根拠です。

ノーコードWeb制作プラットフォームプロバイダとWordPressとを比較してくれているサイトがありますので、参考のためにご覧ください。

適切な利用シーン

他のサイトのご意見なども取り入れて総合的に考えますと、ノーコードWeb制作プラットフォームの利用は下記のような条件で判断できるのではないかと考えております。

メリットが大きい利用シーン

  • 簡単に無料で制作したいサイト
  • 将来的に活用したり展開を予定していないサイト
  • 低機能で済むサイト
  • 一時的なサイト

デメリットが大きい利用シーン

  • 長く運用したいサイトは利用料金がかさむ
  • 将来的にもっと活用したりいろいろ展開したいサイトではサイト規模により利用料金がかさむ
  • 高機能を必要とされるサイトでは十分な機能を導入できない
  • ページ数が多いサイトでは他に移行する時に大きな障壁となる

世の中の流れだとか流行りだからといった安易な考えで飛びつくとあとあと取り返しがつかない状況に追い込まれる恐れがありますので、ご利用者様の賢明な判断を祈らずにはいられません。